大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和47年(ネ)1289号 判決

昭和四七年(ネ)第一、二八九号事件控訴人・

昭和四七年(ネ)第一、二八四号事件被控訴人・

原審昭和四五年(ワ)第五、五〇一号事件原告

(以下、第一審原告という。)

第一審原告

水元運株式会社

右代表者

永元正雄

右訴訟代理人

村井禄楼

外一名

昭和四七年(ネ)第一、二八四号事件控訴人・

昭和四七年(ネ)第一、二八九号事件被控訴人・

原審昭和四六年(ワ)第九、九〇九号事件当事者参加人

(以下、参加人という。)

参加人

右代表者

稲葉修

右指定代理人

岩渕正紀

外三名

昭和四七年(ネ)第一、二八四号、第一、二八九号各事件被控訴人・

原審昭和四五年(ワ)第五、五〇一号事件被告

(以下、第一審被告という)

第一審被告

株式会社セントラル・トレイデイング・ジヤパン

右代表者

マリク・シヤー・ザイン

右訴訟代理人

小川利明

主文

一  原判決中参加人に関する部分を取消す。

二  第一審被告は参加人に対し金八四九万八、五五六円及び内金七六二万九、六五四円に対する昭和四三年一二月二一日から、内金八六万八、九〇二円に対する昭和四四年一月一六日から各完済に至るまで年六分の割合による金員を支払え。

三  参加人と第一審原告との間において前項の金員の取立権が参加人にあることを確認する。

四  第一審原告の本件控訴を棄却する。

五  訴訟費用は第一・二審とも第一審原告に生じた費用は第一審原告の負担とし、その余はすべて第一審被告の負担とする。

事実《省略》

理由

第一まず、第一審原告の本件訴の適否について判断する。

参加人(国)が第一審原告に対し昭和四六年三月二五日現在においてすでに納期限を経過した昭和四三年度源泉所得税ほか合計金六九四万四、五八二円の国税債権を有していることは成立について争いのない丙第一号証によつて明らかであり、大阪国税局長が右同日右国税債権に基づく滞納処分として第一審原告の第一審被告に対する本件運送賃請求権全額(二万八、三二八米ドル五二セント)を差押え、翌二六日右差押通知書を第三債務者である第一審被告に送達した事実は当事者間に争いがない。してみると、右差押通知送達以後参加人は国税徴収法六七条一項、六三条本文によつて本件運送賃請求権全額の取立権を取得し、滞納者たる第一審原告に代つてその権利を行使することができ、反面第一審原告はその取立権を失い、右請求権の給付を求める訴訟追行権を喪失するに至つたものというべきであるから、第一審原告が第一審被告に対して右運送賃の支払を求める本件訴は不適法に帰し、却下を免れない。第一審原告は当審において、右運送賃全額の請求を前記国税債権を除いた限度に減縮して、その給付を求めているが、前記のようにその差押及び取立権の効力は国税債権の金額いかんにかかわらず被差押債権の全額に及んでいるのであるから、その理は異ならない。

第二以下参加人と第一審被告との関係において本件運送賃請求権の存否を検討する。

(一)  第一審原告が神戸市に本店を有し、海運業を営んでいたこと。

第一審原告が第一審被告との間において、昭和四三年九月一〇日、次の内容の海上運送契約、即ち、第一審原告が大泉丸を運航してインドネシア・ラワン丸材木をラブハ港及びタリアブ港において積荷し、ラブハ港積荷分は名古屋港、タリアブ港積荷分は下関から千葉に至るまでの間の安全な港に荷揚げする、第一審被告はラブハ港積荷分については船荷証券面上一立方メートルにつき一一米ドル一〇セント、タリアブ港積荷分については同じく一一米ドル七〇セントの各割合による運送賃を船積み完了のときにそれぞれその船荷証券面上の数量に応じて支払う、そして右運送賃は船体又は積荷の減失いかんにかかわらず割引又は返戻されない、第一審被告は右積荷の最低数量として二、五〇〇平方メートルを保証する、との趣旨の運送契約を締結したこと。

大泉丸は昭和四三年九月二〇日に大阪港を出港し、同年一一月二九日にタリアブ港に入港して船荷証券面上2,022.43立方メートルのラワン丸材木を積み、次いで同年一二月一二日第一審被告の要求によりラバハ港を変更してカブツサン港に入港し、船荷証券面上248.37立方メートルのラワン丸材木を積込み、昭和四四年一月一二日名古屋港に到着して同月一五日その割揚げを完了したこと。

右運送による運送賃の総額は合計二万八、九六三米ドル四五セントとなるが、右航海中第一審被告が第一審原告の依頼に応じて大泉丸の船用品購入その他の費用を支払い、合計六三四米ドル九三セントにのぼる第一審被告の立替費用が存在すること。

以上の各事実は当事者間に争いがない。

そして、〈証拠〉によれば、昭和四三年一二月一六日第一審原告と第一審被告との間において、さきの運送賃支払の方法を変更し、その全額の九〇パーセントを遅くとも同月二〇日までに、残額一〇パーセントは諸費用を精算の上、荷揚と同時に支払う旨の合意が成立した事実を認めることができる。

しかして、第一審原告と第一審被告との間の大泉丸による前記運送契約(以下本件運送契約という。)を第一審被告が昭和四三年一二月二八日到達の書面をもつて解除する旨第一審原告に意思表示したことも当事者間に争いがない。そこで次に右契約解除の効力について考察する。

(二)  〈証拠〉を綜合すると、次のような事実が認められる。

1  大泉丸は、第一審原告が昭和四三年九月三日大和海運との間に代金四、〇〇〇万円を割賦払とする所有権留保付の売買契約並びに一か月金二一五万円の傭船料を向う四〇か月分支払う旨の裸傭船契約(この内容は前記参加人の陳述(七)の(1)のとおり)を締結し、かつ、同船に乗務していた大和海運所属の石橋淑方船長及び乗組員多数の融通派遣を受けて借受け傭船した貨物船であるが、第一審原告は右大泉丸の約二か月の予定の東南アジア航海に際し、第一審被告との間で本件運送契約を締結し(なお、訴外オーバーシーズ・トレーデイング株式会社との間にも一部同様の丸材木運搬の契約があつた。)、同年九月二〇日大阪港を出港させた。この大泉丸の本航海予定の燃料・船用品は一部大和海運が代金を立替えた引継品もあつたが、ほぼ第一審原告が調達し、食料品についてはその頃すでに第一審原告の信用上の問題があつて、第一審原告の指定店から買入れることができず、大和海運の指定店でようやく購入して準備を整え、出港の運びとなつた。

2  大泉丸が同年一〇月初旬に寄港したバンコツクにおいては、第一審原告が現地代理店(偉聯有限公司=グランドユニオンカンパニー)への送金を怠つていたため一時は右代理店から出港差止めを受けかねない状況にあつたが、間もなく第一審原告から右の送金をした旨の通知があつたので、予定通り同月一二日に同港を出港することができた。

3  大泉丸は同月一八日ジヤカルタに入港し、往路の荷降等を終え、同年一一月一日同港を出港し、その後ラワン丸材木積載のためインドネシア海域のマカツサル、テルナテ、ビーツン等の諸港に寄港したのであるが、第一審原告は右インドネシア海域において最初のジヤカルタの代理店(ジヤカルタロイド)に代理店業務を依頼しただけで、それ以東の前記諸港に関しては何らの手配もせず、石橋船長が右代理店に自らその手配を頼んで出港したものの、船舶通信が難しい同海域での特殊事情もあつて、航海上必要な指示・連絡が第一審原告から殆んどなく、その間マカツサルにおいては第一審原告からの送金がないことを理由に出港差止めを受け、また食料・日用品に不足を生じ、機械の故障も重なつて航海に困難を来たし、特に清水や生鮮食料の購入を拒否される事態となつて同船長はやむなく個人として金借し、或は現地に来ていた第一審被告の営業部長ナスチオンから立替を受けるなどして急場をしのぎ、その後も船長が自己の所持品を売却して食料等の補給をして航海を続けた。

4  この間もちろん大泉丸船長から第一審原告に宛てて航海に関する指示を仰ぎ、物資の補給・送金の依頼をしていたが、物資の補給は同年一一月一九日にマカツサル宛にピストン冷却用サクシヨンバルプの空輪を受け、同年一二月一七日ビーツンにおいてローラーの部品の送付を受けたにとどまり、ジヤカルタロイドに対する送金は、他の船舶関係分も含み、不足・遅滞があつて、僻地の前記諸港を航行中の大泉丸のためには役立たなかつた。

5  大泉丸は同年一一月二九日タリアブ港に入港し、第一審被告との間の本件運送契約に基づき木材を積込み、同年一二月一〇日同港を出港し、同月一二日カプツサン港で同様木材を積込んだが、その間第一審原告は同一一月末日に五億円を上回る負債を残し不渡手形を出して倒産し、その結果同年一二月五日、当面その資産を管理し、会社再建の目途を立てる目的で多数債権者の代表からなる債権者委員会が設置されたが、第一審原告の再建策が立たずに同月二六日解散した。

6  その頃同年一二月一〇日第一審原告の貨物船泰永丸が名古屋港に到着したが、第一審原告の倒産が原因で港湾業者がこぞつて同船の接岸、入港手続を拒否したので、乗組員救済の立場から日本海員組合がその費用を立替支弁し、荷揚を完了した。このようないきさつもあつて、同月二〇日第一審原告代表者永元正雄と前記債権者委員会の山ノ井一郎が第一審被告を訪れて本件運送賃の支払を求めたのに対し、第一審被告は、本件運送の完遂を保証する書面の提出があれば支払う旨答え、同人らから右保証書の提出がなかつたので、その後間もなく、大和海運の第一審原告に対する前記代金、傭船料不払を理由とする売買契約、裸傭船契約の解除と相呼応して、同月二六日本件運送契約解除の通知を第一審原告に対して発し、翌二七日大和海運との間で本件運送品を目的とする大泉丸の傭船契約を締結し、その頃大和海運に本件運送賃相当額を支払つた。因みに、第一審原告は大和海運に対し同年一二月二日現在本件裸傭船契約及び従前の定期傭船契約中の諸費用立替金、前記売買代金、傭船料の未払分等を含め合計金一、七六四万七、六六五円の債務を負つていた。

7  他方大泉丸は、同年一二月二四日最終寄港地ビーツンを出港して同月二六日フイリツピンのバシラン島に仮泊し、本件運送契約解除当時は一路名古屋港に向けて太平洋を航行中であり(同船長は同月二四、五日頃には大和海運から前記売買契約及び裸傭船契約が解除になる旨の連絡を受け、船員雇入契約変更の指示も受けていた。)、そのまま航海を続けて前記のとおり昭和四四年一月一二日名古屋港に到達した。

(三)  以上認定の経過からわかるように、大泉丸は第一審原告の海上運送人としての資金不足、現地代理店に対する手配の不手際、船長に対する指示・連絡の不充分等が原因で、一時は出港差止めの通知を受け、又食料品・故障機械部品等に不足を生じ、同船の航行・貨物運送に相当の困難を来たし、航海の予定も遙かに遅れて、同船長に多大の労苦を強いる結果になつたけれども、昭和四三年一二月一三日には本件運送契約によるラワン丸材木の荷積をすべて完了し、同月二四日には航行に必要な物資の補給も成つて最終寄港地を出発し、本件運送契約解除の同月二八日当時は一路目的の名古屋港に向けて帰航中であり、そのまま同港に到達する予定にあつて、現に到達しているのであるから、まずその限りにおいては本件運送契約が履行不能になつたとは考えられない。

次に第一審原告と大和海運との間の大泉丸の売買契約及び裸傭船契約の解除について一言するに、大泉丸はともかくにも本件運送契約に従つてラワン材を積み、最終寄港地を出発し、一路帰航の洋上にあつた状況においては、売買契約や裸傭船契約の解除が仮に有効だとしても、大泉丸を空船にして大和海運に返還するには、名古屋港において積荷を揚げた後になされることにならざるを得ないのであるから、右の解除により本件運送契約が履行不能になると言うことはできない。また、右裸傭船契約に伴つて大和海運から融通派遣された大泉丸船長及び多数乗組員の第一審原告との間の雇用契約関係も同様である。即ち仮に裸傭契約の解除や船長ら船員の右融通派遣の取止めが右の雇用関係終了の事由になるとしても、船員法四四条一項の規定によれば、船舶の航行中に船員の雇入契約が終了した場合、右雇入契約は次の港に入港して荷物の陸揚又は乗客の上陸が終る時まで存続するものと看做されるのであるから、右大泉丸船長及び乗組員と第一審原告との間の雇用契約は名古屋港での荷揚完了まで当然継続するのであつて、石橋船長がこれを誤解し、船員と第一審原告との雇用関係が大和海運との雇用関係に移ると考えたとしても、大泉丸の運航計画は依然名古屋港に接岸し、積荷を揚げることであり、現にその通り実行されたのであるから、このような客観的な事実関係の下においては、石橋船長ら大泉丸の船員が、過つて自己の雇用関係をどのように考えようとも、本件運送契約の履行を不能ならしめるものではなかつたと言うべきである。

次に名古屋港到達後同港岸壁に接岸させるまでの手続と積載貨物の荷揚作業であるが、〈証拠〉によると、本件大泉丸の荷揚に要する艀賃及び沖仲仕賃は運送依頼人たる第一審被告の負担とされていることが認められるから、荷揚作業は第一審原告の履行義務の範囲に属しない。残るは入港手続であり、それに要する岸壁使用料・入港税等の港湾関係手数料は当然第一審原告の負担であり、〈証拠〉によると、大泉丸については概算四五万円ないし七〇万円程度の費用がかかり、これを港湾関係業者に支払つて入港・接岸を果たすことができるものであることが認められる。この点に関して、当審において第一審原告代表者永元正雄が、それに要する費用は岸壁使用料の二五、六万円程度であると述べているのはにわかに信用しがたい。

ところで、前示の本件運送契約の約定によると、本件運送賃はもともとタリアブ港及びカプツサン港における船積完了時に荷主たる第一審被告が船荷証券面によつて先払すべき関係にあり、これを右契約当事者のその後の合意によつて昭和四三年一二月二〇日までに本件運送賃の九〇パーセントを支払う約旨になつていて、第一審原告は第一審被告に対し本件運送契約解除前に先給付を受けるべき取立可能な約二万八、〇〇〇米ドル以上の金銭債権を有していたのであるから、これを全く度外視して第一審原告にさきに認定した程度の港湾関係手数料を支弁する能力がなかつたと断定することはできず、前述のように当時すでに第一審原告が多額の負債を残して倒産し、しかも、その資産の管理を債権者委員会が担当していたこと、前出甲第二三号証にあるように取立てた本件運送賃はまず船員費の支給に優先的に充てることが予定されていたこと等の事情があつても、右手数料が本件運送契約完遂のための必須の出費であることに鑑みれば、取立てた運送費の中からまず右の手数料を支払うべきものであり、その支弁能力はあつたというべきである。

それにも拘らず、第一審被告が履行不能として本件運送契約解除の措置に出た原因は、〈証拠〉によると、昭和四三年一二月二〇日頃大和海運の営業部長から『大泉丸は大和海運の管理下にあるから、新たに大和海運との間で運送契約を結び大和海運に運賃を払つてほしい。そうでないと木材を引渡すことができないかもしれない』と言われて不安を覚えたところ、前述のように同月一〇日頃先に同港に到達した第一審原告の泰永丸が港湾入港業務を業者から拒否されたと聞知し、更に同月二〇日に本件運送賃の取立に来た第一審原告代表者と債権者委員会が第一審被告の求める運送完遂の保証をしなかつたことがその原因であるが、当審における第一審原告代表者永元正雄の供述から窺えるように、泰永丸の件は運賃後払の約束で荷揚完了後に支払を受けられた事例であるから比較に適せず、また、後者の運送完遂の保証も同日までに支払うべき九〇パーセント相当分の先履行を荷主の第一審被告が拒絶すること自体に問題があるのであるから、前記のような第一審被告の判断を相当ならしめる事由とは認めがたく、本件解除通告は、第一審被告が大和海運の営業部長の言葉にひきずられ、第一審原告に比較して信用資力の強大な大和海運についた方が安全と即断した結果、履行の能否の判断を誤つたことによると言わざるをえない。

これを要するに、本件運送契約がその解除通告時の昭和四三年一二月二八日当時第一審原告の責めによつて履行不能の状態にあつたと断定するに足りず、右契約解除は効力を生じないから、右抗弁は理由がない。

(四)  次に、第一審被告は、第一審原告が本件運送賃請求権をその債権者委員会に債権譲渡したから、第一審原告に右請求権はないと抗争する。

しかし、前認定のように債権者委員会は第一審原告が倒産したために第一審原告会社に代わつて一時的にその資産管理等をするために多数債権者の代表によつて結成されたものであり、(なお、昭和四三年一二月五日に設置された同委員会は間もなく同月二六日に解散している。)〈証拠〉によれば、本件運送賃も右趣旨に則つて債権者委員会が一時債権の管理をする立前から取立委任を受けたもので、乙第五号証はその趣意を債権譲渡の形式で表現したにすぎないと認めるのが相当であるから、右主張も採用することができない。

第三参加人(国)が本件運送賃請求権を差押えてその全額二万八、三二八米ドル五二セント(運送賃総額二万八、九六三米ドル四五セントから第一審被告の立替費用六三四米ドル九三セントを差引いたもの)の取立権を有することは前述のとおりであり、本件運送契約上右運送賃は米ドルをもつて支払う約旨であることは前示のとおりであるから、任意債権の履行として参加人は第一審被告に対し右二万八、三二八米ドル五二セント及び内金二万五、四三二米ドル一八セントに対する前記第二、(一)の支払方法変更の合意による九〇パーセント分の支払日昭和四三年一二月二〇日の翌日(同月二一日)以降右完済まで、残額二、八九六米ドル三四セントに対する右合意による最終支払日昭和四四年一月一五日の翌日(同月一六日)以降右完済まで商事法定利率年六分の割合による各遅延損害金、もしくはこれに相当する履行地(前出甲第二八号証の一によれば東京都である。)における為替相場による円貨の支払を求め得べきものである。

ところで、参加人は第一審被告に対し右約旨の米ドル建運賃債権を邦貨によつて裁判上の請求をしているところ、この場合の邦貨換算は事実審の口頭弁論終結時における為替相場によつてするのを相当と解すべく、当審の最終口頭弁論期日(昭和五〇年一〇月九日)に接着した同年一〇月八日現在におけるわが国為替取引銀行の現金買相場が一米ドルにつき金三〇〇円〇〇銭であることは当事者間に争いがないから、これをもつて右の邦貨換算率とすべきである。

そうすると、参加人が、第一審被告に対し右換算率によつて算出した本件運送賃金八四九万八、五五六円並びにその内金七六二万九、六五四円に対する昭和四三年一二月二一日以降、内金八六万八、九〇二円に対する昭和四四年一月一六日以降各完済に至るまでそれぞれ年六分の割合による遅延損害金の支払を求める請求は理由があり、また、第一審原告に対しその全部の取立権を求める請求も同様理由があることになる。

第四よつて、原判決中参加人に関する部分を取消して参加人の第一審被告及び第一審原告に対する右各請求を認容し、原判決中第一審原告の本件訴を却下した判断は相当であつて、第一審原告の本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法九六条、八九条を適用して主文のとおり判決する。

(室伏壮一郎 小木曾競 深田源次)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例